今、伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』を読んでいる。
この本、昔一度読んだことがあって今回が再読。一回目に読んだのは、確か中学生の頃だっただろうか。それまで児童書しか読んでいなかったが、図書館で初めて大人が読むような本を借りてみた時があった。それが『ゴールデンスランバー』だった。
約15年振りに改めて読むと、あの頃と本の印象が全然違う。というか、断片的なシーンの記憶しかなく、それすらも曖昧なもので、本当にこの本読んだんだっけ?と思うほど覚えていなかった。
まだ読書経験も薄いあの頃は、この本の面白さなんて半分も理解できてなかっただろうなあ。でも、伏線回収が見事だったことだけは記憶に残っていた。
去年の8月に息子が生まれて、本を読むときのマインドもそれまでとは変わったように思う。
去年の秋だったか、宇野碧『レペゼン母』を読んだ。主人公は梅農家を経営する年配の女性で、ひょんなことから息子とラップバトルで対決することになる。主人公の回想シーン、生まれたばかりの息子が自分に向かって微笑みかけたように感じられて喜びを噛みしめる場面を読んでいて、涙した。自分の息子が生まれてからの毎日を思い返して、胸が熱くなった。
息子が生まれる前に読んでいたら、きっと涙を流すことはなかったと思うし、全く違う感想を得ていたんだろうなあと思う。
人生のそれぞれのステップで、同じ本を読んだときに抱く印象は異なるのだろう。以前読んだ本も、時が経ってから読み返すと新しい発見ができるのだと思う。
好きな本は大切に取っておいて、ふと思い出したときにもう一度ページを開いてみたい。